ある日の遠野家の昼時。

居間では一人の少女・・・いや仕草や表情の随所にはもう女帝の風格すら漂わせた・・・が、動作のみ優雅に表情には苛立ちと不安を満面に浮かべて紅茶を飲んでいた。

それはあたかも恋人を待つかのような表情と酷似している。

その傍らには、着物とメイド服を着た同じ顔立ちの二人の少女が一歩下がって従っている。

一人は無表情に、もう一方は明るい笑みを浮かべている。

しかし両方ともやはり何かを持っていた。

「・・・琥珀、兄さんは、まだ戻ってこないの?」

やがて、女性は後ろの着物を来た少女におもむろに口を開いた。

「いえ、志貴さんからの連絡はまだ貰っていません。」

「ですが、先日のお話ですと、まもなくお戻りになられる時間だと思います」

琥珀と呼ばれた少女と、隣のメイド服の少女が言葉を繋ぐ。

「そう・・・全く・・・兄さんは一体どこで油を売っているのかしら」

そう呟いた時、

「妹、おっはよー」

「おはようじゃありません!!もう昼前です!それに一体何度言えば解るんですか!!貴方が私の義姉になる可能性なんて天地がひっくり返る事よりもありえません!!」

入ってくるなり、明るい声で挨拶してきた金髪の美女に向かってそう怒号で返す。

「おはようございますアルクェイド様」

「あははー、やはり吸血鬼は朝に弱いものなのですか?」

「翡翠も琥珀もおはよう!うーん・・・と言うよりも今日志貴が帰ってくるって聞いたら眠れなくなっちゃって」

「全く・・・小学生ですか?」

「仕方ありませんよ秋葉さん。このあーぱー吸血鬼は存在そのものが非常識の塊なのですから」

「シエル様おはようございます」

それに続いて入ってきた青みがかった髪の女性がそうつなげる。

「むっ・・・シエル朝から私に喧嘩売るつもり?」

「ええ、そのつもりですけど」

「はいはいシエル様もアルクェイド様も落ち着いてください。帰ってきて早々にお二方が喧嘩しているのを見たら志貴さんが悲しまれますよー」

琥珀のその一声にアルクェイドと呼ばれた金髪の女性とシエルと呼ばれた蒼髪の女性はたじろいだ。

「にゃあぁぁぁぁ」

「レン様、御食事ですか?どうぞミルクです」

そんな中、首に大きなリボンを付けた黒猫の姿を見た翡翠がそのレンと呼んだ猫にミルクの注がれた皿を差し出す。

容姿・性格・立場、果ては種族まで全く違う者達だったが、彼女達には皆ある共通点があった。

それは全員一人の男によってある者は命を、またある者は自分を縛り付ける呪いから、それぞれ形は違えども自分達を重い十字架から救い出してくれたと言う事と、その男に全員が恋心を抱いていると言う事・・・

その時玄関から「ただいま」と男の声が聞こえた。

「志貴だぁぁ!!」

とアルクェイドが居間から人間と思えない速さで飛び出していた。

「ちょっと待ちなさい!!未確認あーぱー生物!!」

「そうです!!一番初めに『お帰りなさい』を言うのは私なんですから!!」

一瞬送れて秋葉とシエルが玄関へと駆け出していった。

「じゃあ翡翠ちゃん、私はご飯のご用意するから、志貴さんを休ませてね」

「はい姉さん」







「ふうっ・・・」

二・三週間ぶりにみる遠野家の門を潜ると俺は自然に安堵の溜息を付いた。

「・・・何とか仕事もうまくいったしけどな・・・まさかあんな異名がついているとはね・・・『蒼眼の黒鬼(そうがんのこっき)』か・・・」

そんな事を言いながら玄関のドアを開ける。

「ただいま」俺がそう玄関から声を掛けると、少々行儀悪いがそのまま腰掛け、まず腰のベルトから二本の小太刀を取り出した。

「今回もこいつ達には助けられたな」

そう言いながら脇に、『凶断(まがたち)』・『凶薙(まがなぎ)』を置くと今度は懐から『七夜』と刻まれたナイフを取り出すとそれも一緒に置いた。

「さて・・・次の依頼も暫くは無いようだから、実戦訓練をまたアルクェイド達にお願いするか・・・幸い報酬もたんまりあるし、貯金も十分に貯まっているからアルバイトを探す必要も無いしな」

実際の所、今回はボランティアの様なものだから報酬は要らなかったのだが、よほど感謝されたのか依頼主に強引に手渡された。

それも日本円で相当額の金額を・・・

「さてと・・・みんなに・・・」

「しぃきぃーーー!!おかえりぃぃーーーー!!」

俺がゆっくり立ち上がろうとした時、背中から一気にラグビーのタックルのような勢いで何かが突っ込んできた。

「うわっ・・・あのな・・・アルクェイド、大砲のようなスピードで突っ込んでくるな。仕事の状態の俺だったら容赦無く『降臨』と『メテオ』を食らわしていたぞ」

「えーっ。良いじゃないのーせっかくの恋人同士の・・・」

「誰が恋人同士ですか!!誰が!!」

「そうです!!化け物の分際で人の兄を誘惑しないで下さい!!」

俺の背中に引っ付いて甘えていたアルクェイドを秋葉とシエル先輩が抜群のコンビネーションで引き剥がした。

(うわっ『黒鍵』でアルクェイドだけ吹き飛ばして、続けての第二射の時には『檻髪』で動きを封じての一撃か・・・)

普通の死徒なら最初の攻撃で消滅ものの攻撃もあいつの前には・・・

「いったー、ちょっと!何するのよ!!妹にデカ尻エル!!」

「何、遠野・・・いえ七夜君に纏わり着いているんですか!!」

「そうです!!兄さんに甘えるなんて私が許しません!!」

速攻で復活してきたアルクェイドは早速秋葉達に文句を並べ、秋葉達はそれに猛然と反発する。

「ははは・・・ここに帰ってきた気がするな・・・アルクェイド・シエル先輩・秋葉・・・ただいま」

俺は三人にそう言っては見たが既に開戦直前まで殺気が膨れ上がっている、三人には何も聞こえてこないようだ。

俺は軽く肩をすくめると、その足で居間に入った。

「志貴様・・・お帰りなさいませ」

「志貴さん、お帰りなさい」

「志貴さまお帰りなさい」

「ああ、翡翠・琥珀さんにレン、ただいま」

居間に入った俺に翡翠は安堵の表情を顔一杯に広げてやや声を詰まらせながら、琥珀さんはいつもの笑顔の六割増のまばゆいばかりの微笑で、そしてレンは人型に変身するとそのまま俺の足に纏わりついて満面の笑顔で俺にそう言う。

「ふうっ・・・今回も疲れたよ」

そう言いながら俺はソファーの腰を下ろすと、レンはそのまま俺の膝の上にすわり、翡翠が紅茶を差し出して不安な表情で

「・・・志貴様・・・一体何時までこのような事を?」

そう聞いて来た。

確かに、今俺の付いているこの仕事は、何時何処で死んでもおかしく無いものだから、翡翠の心配も至極当然な事なのだが、俺にもこれを途中で放り出せない訳があった。

「うーん・・・そうだな・・・少なくても自分が納得するまでは・・・答えを見付けるまではこの仕事を続けたい」

「でも志貴さん、死んでしまっては答えを探す事すら出来ませんよ、止めて下さいとは言いませんが、もう少しご自愛をしてください」

「うん解っているよ、心配かけてごめんな皆」

そう言うと軽く翡翠達三人にキスをしてあげると皆顔を真っ赤にして硬直してしまった。

「あーーーー!志貴こんな所にいた!!」

「七夜君!!何時の間にそんな所にいるんですか!!」

「ちょっと!!兄さん!どうして私を無視するんですか!!」

その直後、本来の目的を思い出したのか秋葉達が雪崩れ込んできて、遠野家の居間は瞬く間に喧騒の渦の中心になってしまった。







俺がこの二本の刀『凶断』・『凶薙』を手にしてからもう2年経つ。

その間俺は高校を卒業し、同時に遠野から姓を七夜に戻した。

今ではフリーランスの退魔師として、主にアルクェイドや先輩の仕事の補助的なことを行い、たまに先生から送られてくる、仕事をこなしたりしながら、生計を立てている。

俺がこんな仕事に就くきっかけとなったのは、鳳明さんとの会話だったが、それでも高校卒業直前まで、この道で良いのか迷った。

しかし、そんな俺の決定的な後押しとなったのは、アルクェイドに誘われて千年城に行った時偶然にも見付けた鳳明さんが最期に記した書・・・

これが道に、自分にも迷いだした俺に明確な導となった。

そんなこんなで今では、日本を拠点としながらも、主に欧州を中心に世界中を回る事がここしばらくは生活スタイルとなっている。

まあ、今でも秋葉達の要望もあり、遠野家に居候と言う形は取ってはいるが、今のところ遠野家周辺は、おおむね平穏である。

しかし、さほど気にしていなかったが、この世界では俺の名はかなり有名らしい。

埋葬機関でも封印出来なかった混沌ネロ・カオス、無限転生者ロア。

さらには、存在すら不明とされていた第十三位『ワラキアの夜』をもこの世から抹殺し、真祖の姫(アルクェイドだが)や協会の『ミス・ブルー(先生)』に絶対的に信頼され、さらには最高ランクの魔殺武具を手にしている。

そして何よりも伝説の魔眼といわれる『直死の魔眼』の所有者だと言う事で俺は埋葬機関からは最危険人物として死徒並みの警戒をされ、魔術協会では魔術師・魔法使い以外では初となるらしい封印指定として扱われ、死徒達からも畏怖の対象として『蒼眼の黒鬼』という名で呼ばれるようになった事を今回初めて知った。

そのような異名ははっきり言って迷惑なのだが、付いてしまったものはしょうがないと言えばしょうがない。

初めて聞いた時溜息一つ付いてそれは感受した。

仕事の内容は無論死徒狩りや異端の者の退治だが、ここ最近、異端との混血者の暗殺まで依頼される様になった。

無論後者はよほどの理由が存在しない限り受ける事は無いが・・・

「それで兄さん、暫く仕事は無いのですか?」

「ああ。まあ先生もそんなにほいほいと依頼を持ってくると言う訳じゃないから暫くはのんびり出来るよ」

久しぶりに7人揃っての夕食時に秋葉がそんな事を聞いてきたので、俺はそう答えた。

すると、やはりと言うべきか

「じゃあさ志貴、久しぶりに遊びに行こうよー」

「七夜君、こんなあーぱー吸血鬼は放って置いて、私と映画でも見に行きませんか?」

「何言っているんですか?明日兄さんは私と一緒に過ごす事に決まっているのですよ」

「あの・・・志貴様久しぶりに・・・私に料理を教えて・・・」

「あははー志貴さん、明日は私とお茶でも飲みながらのんびりしましょうねー」

「志貴さまは、私と公園でのんびりとするの」

一斉に全員からお誘いの声が掛かった。

「どれも良い提案だと思うけど・・・ごめん、ちょっと明日は外せない用事があるんだ」

「ええーーっ!!」

「そんな・・・せっかく明日の為に映画のチケットを買ってきたのに」

「もう兄さん、どちらに行かれるつもりですか?」

「そうですか・・・」

「はうー残念です。美味しいお茶菓子を用意していたのですが・・・」

「そんな・・・」

俺が手を合わせてそう言うと、皆表情に差こそあれ、落胆の色と俺に恨めしい視線を向けた。

「ごめん本当に、でもこれだけは外せないんだ」

「はあ、仕方ありませんね、七夜君がここまで言うのですから今回は見送りましょう」

「ちぇ〜〜せっかく志貴と遊べると思ったんだけどな」

「仕方ありませんから翡翠ちゃんにレンちゃんとで明日はお茶を飲む事にしましょうか〜」

「・・・はい」

「・・・(こくん)」

「ふう、まあそれはそれで仕方ありませんが、兄さん、一体何処に行かれるか位は教えてくださるでしょうね」

「ああ、時南の藪医者の所さ。もうそんなに通う必要も無いんだけど、どうしても少しは来いとさ」

「そうですか・・・それでは仕方ありませんね。また兄さんが病弱になっても困りますからね」

秋葉がそれでこの話題を打ち切ったので食卓の話題はいつもの世間話に戻った。

(ふう、危なかった。秋葉がこの話を打ち切ってくれたおかげだな)

内心俺は冷や汗ものだった。

確かに俺は明日、時南医師の所に行く。

目的もたまには体を検診する為と言う事も嘘偽り無い。

たまには来いとよく言われているのも事実だ。

ただ、あえて俺はもう一つの理由を隠した。

そう、俺が時南医師の所に行くのはもう一つある事を尋ねたいからだった。

安堵しながら俺は琥珀さんの作った豪勢な食事に舌鼓を打った。








食事も終わり、志貴が風呂に入る為に居間を後にすると、女性陣が、

「絶対志貴何か隠しているよー」

「ええ、七夜君の明日の事を聞かれた際のあの慌てぶり、どう考えてもおかしいですね」

「でも、時南先生が志貴さんにたまには来いと言っている事は事実ですよ」

「そうね、何しろ私にまでそんな事を言うんだから」

「でも志貴さまはきっと何か隠しています」

「どう言う事ですか?レン様」

レンは偶然にも読み取った志貴の考えを皆に話した。

「危なかった?それはますます怪しいわね」

「レン、もう少し深く読み取れなかったの?」

「はい、最近志貴さまは思考を簡単に表面に出さなくなったので今回の事も偶然でした」

「でもこれで七夜君が医者の所に行く事を隠れ蓑に何か隠している事がはっきり解りましたね」

「それだったら話は早いわ。私が兄さんに直接問い質して来るわ」

「ですが秋葉様、志貴様が一度決めた事をそう簡単に変えるとは思えませんが」

「そうですねー確かに志貴さんは、ここぞと言う時の決断は固いですから」

「じゃあどうする気なの?琥珀」

「ご安心ください。もう策は仕掛けております。細工は隆々、仕上げは御覧じろですよ」

「そうですか・・・まあ、琥珀さんの策なら安心できますね。それよりも七夜君、一体何を必死になって隠しているのでしょうか?」

「ねえレン、そういえば志貴、最近おかしいとか言わなかった?」

「はい、最近志貴さま、夜に目を覚ましております」

「ええっ?あの志貴様が・・・」

「はい、以前まででしたら朝までは決して起きる事が無かった志貴さまがここ一月、毎夜目を覚ましております」

「それはますます変ですねえ」

「ひょっとしたら兄さん何か深刻な悩みでも?」

「ともかく・・・」

シエルが言葉を告げようとした時、廊下を歩く音が聞こえてきた。

「まずいわ志貴が戻ってきた!」

「取りあえず今回はここまで。琥珀・翡翠、兄さんに何か変化があったら伝えなさいね」

「「かしこまりました秋葉様」」







「ふう・・・」

俺は自分の寝室に戻るとベッドに腰掛け静かに息を吐いた。

「・・・今日は満月だったか・・・」

俺は夜空を眺めようと窓を開けていた。

満月を見るとあの日が思い起こされる。

(鳳明さん、俺は俺の思うままにここまで来ました。貴方から見て俺はどうでしょうか?合格なのですか?それとも・・・)

何故貴方は・・・毎夜夢に出てくるんですか?

実はここ数日、俺は奇妙な夢を見ている生活が続いていた。

それは、在りし日の七夜の里・・・

俺は何かに導かれるように当主の屋敷を通り抜け、森の中を奥に奥に進む。獣道を潜り抜け待っていたのはポッカリと空いた洞穴。

そしてそこに懐かしい人が・・・鳳明さんが現れ、俺に何かを伝えようとするがその直前俺は眼を覚ます。

そんな生活がここ1・2ヶ月続けている。

(直ぐに七夜の里に言っても良いけれど、無駄足を踏む訳のもなんからな。あの爺さんなら何か知っているかもしれない)

なにしろ、遠野家の主治医だけでなく、俺の親父とは色々と顔見知りみたいだし。

「まあいいや、全ては明日だな」

俺はそう区切りを切ると、窓を閉めゆっくりと眼を閉じる。

(また見るだろうなあの夢・・・)

そう思いながら・・・







「・・・聞きましたか?」

「はい・・・七夜君浮気している可能性大ですね」

「し〜〜〜〜〜き〜〜〜〜〜」

「・・・志貴様・・・」

「あはは〜今からお仕置きに行きますか?」

「・・・・・・」

もう消灯時間を過ぎているにも関わらず居間には女性陣が全員スピーカーに青筋を立てて怒りの形相を向けている。

無論だがスピーカーではなく、その先の人物に。

琥珀が何時の間にか、志貴の部屋に盗聴器を巧妙に取り付け就寝直前の独り言を全て聞いていたのだ。

「兄さん・・・『何故貴女は・・・毎夜夢に出てくるんですか?』ですって・・・」

秋葉の髪は真紅を超えて赤黒く、鬼火のように燃え上がり

「七夜君・・・まさか世界中でいたいけな女性をその毒牙にかけているのでは無いでしょうね・・・」

シエルは火葬式典付きの黒鍵を片手に志貴の寝室に突入準備はいつでも完了だ。

それは、アルクェイドも同様らしい。

瞳を金色にしてこちらも突入準備は万全だ。

「・・・酷いです・・・ひっく・・・志貴様・・・私がいるのに・・・」

「あははー翡翠ちゃんを泣かせるようないけない人には、徹底的にお仕置きしないといけませんね〜」

翡翠は涙ぐみながらも、まるでスピーカーが志貴本人であるかのように威圧感を与え、琥珀は琥珀で狂気の笑みを浮かべて注射器を手にしている。

「・・・・・・・」

レンは終始無言・無表情を守っているが、怒りの大きさでは他の面々に負けていない。

「妹、早速志貴をここに連れてくるわね」

「いえ、兄さんはもう少し泳がせましょう」

「どうしてですか?」

「証拠がない以上兄さんを追及しても、上手く逃げられる可能性があります。決定的な証拠を見付けたら兄さんにゆっっっっっくりと説明してもらうわ。・・・それに」

「それに?なんでしょうか?秋葉様?」

「・・・お酒も時間をかけ熟成させると美味しくなるでしょう?兄さんには最高級のものを味わってもらいたいのよ・・・私達の怒りを」

その秋葉の死刑宣言を聞くと全員、見る者に恐怖を与える笑みを浮かべて頷いた。

最期まで志貴を庇う翡翠でさえ何も言わず賛成したのだから、彼女達の怒りの大きさがどれほどのものか良くわかる。

「じゃあ、琥珀、明日の・・・」

「はい、既に志貴さんの服に高性能の盗聴器と小型カメラを・・・」

「そう、こういう時には貴女の手の速さはありがたいわね。じゃあ、皆気持ちは分かるけど、事がはっきりするまでは兄さんには手出し無用よ」

「・・・シエルちょっと・・・やる?」

「そうですね、何処かの山にでも結界を張ってそこでやりますか?」

そう言い合うと、シエルとアルクェイドは怖い笑みを浮かべたまま居間を後にする。

「じゃあ私もそろそろ寝るわね・・・最も眠れるかどうか極めて疑問だけど」

「じゃあレンちゃん、秋葉様を眠らせてあげて下さいな」

「はい・・・」

「じゃあ私は見回りをしてきます」

「お願いね翡翠ちゃん」

こうして夜は更けて行った・・・







後書き

   まだ一話ですので、まだ何が何だがわからない方もいられると思います。

   肝心のバトルはもう少しお時間を。

   それと序話でちらりと出しましたが今回もオリジナルのヒロイン一人出します。

二話                                                                                            序話